石戸、小椋は、現在、大きく二つの研究プロジェクトを推進中です。


I. MHC class IIのユビキチン化によるfine tuningの生理学的意義について


MHC class II(MHC II)は獲得免疫において中心的役割を担っています。石戸はMHC IIをユビキチン化によって制御するE3ユビキチンリガーゼ MARCHを見出し報告しました(EMBO J. 2007 Feb 7;26(3):846-54.,J. Exp. Med. 2016 Aug 22;213(9):1685-94.,J. Exp. Med. 2016 Aug 22;213(9):1695-703.)。現在、仮説図に示すように、感染などの刺激によるMARCHの発現抑制によって、MHC IIのユビキチン化抑制がおこり、適切な免疫応答が誘導される、との仮説を得ています(仮説図参照)。しかしながら、現在においてMARCHがどのように免疫疾患と関わっているのかが不明であります。したがって、MHC IIのユビキチン化の状態を変化させた遺伝子改変マウスを作成・解析することにより、MARCHと免疫疾患の関連について迫っています。具体的には、①MARCHが過剰に発現することによる免疫学的異常の探索、②MARCHが欠損することによる免疫学的異常の探索を行なっています。


II. 兵庫医科大学・医療大学における細菌叢解析チームの構築

現在、日本において潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患が増加しています。兵庫医科大学はこの疾患分野において多大なる貢献を行なっており、その患者数は日本における医療施設の中で最大であります。したがって、兵庫医科大学・医療大学にて細菌叢解析のインフラ整備を行い、炎症性腸疾患を含む様々な疾患における細菌叢の関与について検討を行なって行きます。この計画は、兵庫医科大学・医療大学連携共同研究支援助成金(以下メンバー参照)を核として、理化学研究所にて最先端の細菌叢解析を行なっている大野博司グループディレクターのサポートのもと行われます(研究体制図参照)。

代表者: 兵庫医科大学 病原微生物学講座 石戸聡

分担者: 兵庫医科大学 炎症性腸疾患学講座外科部門 池内浩基

兵庫医療大学 リハビリテーション学部理学療法学科 宮本俊朗、永井宏達

兵庫医療大学リハビリテーション学部作業療法学科 勝野朋幸

理化学研究所 粘膜システム研究グループ 大野博司